契約書トラブル例

ビジネスのトラブルは契約内容が原因であることがよくあります。

例1:契約に関する書面が皆無

全く書面による記録がないまま、口頭の取り決めにより取引が行われ、後の担当変更等により契約内容がわからなくなるリスク、あるいはそれが原因のトラブルが生じます。特にリベートやコミッション等の金銭の扱いは、個人的使い込み等の犯罪が生じることもあります。

例2:契約締結前の業務開始(フライング)

委託者からの口頭による依頼を受け、納期に間に合わせるために再委託先への発注も含めて委託業務を開始したら、突然に委託者から中止の連絡がきました。仕掛費用や再委託先への発注費用も含めて損失リスクや請求トラブルが生じます。

例3:契約書ひな形の盲目的利用

ソフトウェア開発の業務委託に売買契約のひな形を利用して締結したために、所有権は移転しても肝心の著作権が移転せず、その後に翻案、複製などのソフトウェアの利用ができないというリスクやトラブルが生じることがあります。同様の問題は、開発委託契約ひな形を利用しても、受託者に有利なひな形を利用したため、やはり著作権が移転しないで利用できないという問題が生じることもあります。ひな形の利用の際には、実際の取引の目的に合致しているかどうかをきちんと確認しないと大変なことになります。

例4:知的財産に関する規定不備

開発委託で権利帰属を明確に定めなかったためにトラブルになったり、著作権譲渡について翻案権や二次的著作物の権利が移転しなかったり、開発成果の著作権を単に共有と定めただけで利用権の設定をしなかったために翻案や複製頒布も共有者の同意がなければできないといったトラブルが生じることがありますので、知財についての規定には注意する必要があります。

例5:契約書の不出来(情報過多)

契約書にビジネス上の運用事項まで詳細に書き過ぎると、直ちに契約違反が生じることになってしまい、契約の意味がなくなってしまいます。何でも決まったことを契約書に書けばよいというものではありません。権利義務の部分とビジネス運用の部分を切り分けて、前者はきっちりと記載し、後者は権利義務の遂行の手段方法として柔軟に記載してビジネス上、実行できる契約書を作成しなければなりません。

例6:契約書の不出来(情報不足)

取引の納入物や成果物の記載に漏れがあったり、記載内容が不明確だったりすると実際の納入物や成果物を見て話が違うとして、トラブルが生じることになります。代金の支払方法についても、納入や検収とリンクさせてきちんと記載しておかないと同様のトラブルが生じることになります。

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