法務体制の整備

企業内で契約法務の体制を作るための手順は、以下の通りです。

Step1.会社の成長と法務体制の整備

大企業の場合、法律、契約、知財、紛争等の企業法務を一元的に取り扱う法務部門があり、そこに社内で起こる各種の法律問題を集約し、体系知識化してこれを社内に還元する体制がとられています。しかし、数の上では圧倒的に多い中小企業では、法務の専門部署はおろか、専任の法務担当者すらいない場合も少なくありません。このような会社では、契約書も社内に散乱しており、原本が担当者のファイルに紛れ込んで出てこないこともあります。これは、法的な問題も現場レベルで解決されたり、顧問弁護士等を使って適当に一回的に処理されており、法務の重要性が経営者に十分に理解されていないからです。しかし、このような会社も成長し、だんだんと規模が大きくなっていくと万一の場合の法的リスクも大きくなり、社内の法務体制の整備が必要になってきます。特にIPOを考えている企業にとって、法務体制の整備は絶対に必要となります。

Step2.社内規程の整備

法務体制の整備にまず必要なのは、社内規程の整備です。契約でいえば、契約締結には必ず法務担当の事前確認を得るように決裁規程を整備し、社内契約情報が法務担当に集中する体制を作ります。また、契約書の押印や原本管理に関する規程を整備し、きちんとした契約書の締結・管理体制を整えます。また、組織権限規定で、法律、契約、知財、紛争に関する責任部署を明確にします。

Step3.法務担当の採用・育成

法務担当がいない場合は、経験者を外部から採用するのが近道ですが、その場合問題になるのはどのような方法で法務担当を採用するか、です。きちんと事実と法律に基づいてビジネスをサポートできる能力があるかどうかをテストしなければなりません。また、社内から法的なセンスがある者を法務担当に指名し育成する方法も有効です。

Step4.外部専門家の選定

弁護士、弁理士等の外部専門家の選定も重要です。中小企業の場合、顧問弁護士は経営者のコネで使っている事務所である場合が多く、企業法務をサポートできる能力があるかどうかは運次第となっています。きちんとした仕事をしてもらえない顧問弁護士でも経営者との関係から切るのは難しいので、案件や必要性に応じて企業法務に対応できる弁護士への切替を徐々に進める必要があります。その場合にも、本当に会社のビジネスの役に立つ外部専門家をどうやって判断、選定するかが重要となります。

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